AIエージェントは使うほど賢くなる。Hermes Agentの自己改善の仕組み
スキルを自動生成し、使わなくなったものを整理し、重複を統合する。Hermes Agentに組み込まれた自律的な学習サイクルを解説します。
AIエージェントの多くは、会話が終わればリセットされます。次のセッションでは、また同じ説明から始めなければなりません。
Hermes Agentは違います。使えば使うほど、あなたの仕事のやり方を覚え、手順をスキルとして蓄積し、使わなくなったものは自動で整理します。今回は、この「自己改善」の仕組みを紹介します。
スキル——経験がコードになる
Hermesで複雑なタスクを成功させると、その手順を「スキル」として保存できます。たとえば「Udemy講座の台本を作る」という一連の作業。教授→査読→編集→戦略コンサル→実務家→教師という6段階のパイプラインは、初回は試行錯誤ですが、2回目からはスキルとして呼び出すだけです。
スキルは単なるマニュアルではありません。実際に成功した手順、ハマった落とし穴、環境依存の注意点まで含んだ「生きた知識」です。これが蓄積することで、エージェントはあなたの業務に特化していきます。
現在、私の環境には126個のスキルがあります。うち46個は実際の業務の中でエージェントが自動作成したものです。73個は標準搭載、7個は公開ハブから追加しました。
でも、スキルは増えすぎる
問題はここからです。スキルは使えば使うほど増えます。プロジェクトが終わったスキル、一度しか使わなかったスキル、より良い方法が見つかって不要になったスキル。放置するとノイズになります。
人間が手動で整理するのは現実的ではありません。46個もあるスキルを、どれが今も必要でどれが不要か、いちいち判断するのは面倒です。
Curator——自動で棚卸しする「司書」
Hermesには Curator と呼ばれる仕組みが組み込まれています。7日に1回、すべてのスキルを自動レビューし、以下の判断をします。
30日使われなければ「休眠」扱い。 利用回数、参照回数、修正回数を追跡しており、完全に放置されたスキルを検出します。
90日使われなければアーカイブ。 削除は絶対にしません。~/.hermes/skills/.archive/ に移動するだけで、いつでも復元できます。
毎回バックアップを取得。 レビュー実行前に全スキルのtar.gzスナップショットを自動保存します。なにがあっても元に戻せます。
実際の運用データ
私の環境での直近のレビュー結果です。全46個のエージェント作成スキルのうち、25個が現役、21個が休眠と判定されました。
よく使われているスキルトップ3:
- Udemy講座の台本作成(110回のアクティビティ)
- Obsidianノート操作(67回)
- Obsidian→PowerPoint変換(40回)
逆に、23日以上まったく触られていないスキルも複数あります。コードレビュー自動化やComfyUI画像生成など、一時的に使ってその後必要なくなったものです。これらはあと7日で休眠入りします。
重複スキルの統合(オプション)
Curatorにはもう一つ、**Consolidation(統合)**という機能があります。似たようなスキルが複数ある場合、LLMが内容をレビューして「この2つは統合できる」と提案します。
たとえば「GitHub PRの作り方」と「GitHubコードレビューの仕方」は別スキルとして存在していても、統合して「GitHub操作マニュアル」にまとめる方が合理的です。
この機能はデフォルトではオフです。LLMのレビューにトークンを消費するため、必要なときだけ手動で有効にします。
なぜこれが重要なのか
AIエージェントの導入で多くの組織が直面する課題は「使い続けられない」ことです。最初は活用しても、だんだん使わなくなる。理由の一つは、エージェントが成長しないからです。
HermesのCuratorは、エージェントを「使うほど賢くなる道具」に変えます。使った手順はスキルとして残り、不要になったものは静かに消え、重要なものは統合されて強くなる。人間が管理しなくても、自律的に知識が整理されていく。
これは単なる便利機能ではありません。エージェントに「記憶」と「忘却」の両方を与えることで、長期的なパートナーとして成立させる仕組みなのです。
良い道具は使うほど手に馴染む。良いエージェントは使うほどあなたの仕事を理解する。